福岡県柳川市の長田病院様

登録日:2016年10月11日

 『あめあめ ふれふれ、かあさんが…』北原白秋が作詞した“あめふり”…どこからか子供の歌が聞こえてきそうな雨降りの日。私たちは、福岡県柳川市を訪れた。ここは北原白秋の愛した土地として、多くの観光客が足を運ぶ。白秋記念館はファンで賑わっており、展示品を見ながら作品について語り合う。白秋は生前より、水都・柳川に対する愛を作品として残してきた。“思ひ出”や“水の構図”などが最たる例である。彼の生涯を追ったあとには、近くを通る掘割(水路)を眺める―― 自分を作品と重ねあわせることができ、ファンにはたまらないのだろう。

 今回は、田んぼの緑と潤沢な掘割の青に囲まれている長田病院を訪れた。同病院は13科182床を有する地域における基幹病院となる。1985年3月、前身となる長田内科が開院され、2003年2月に現在の “医療法人 清和会 長田病院”となった。31年前より、柳川市の内科専門の医療機関として地域に根付いている。

【長田病院正面入口】              【長田病院外観】

 「現場の声が上に届く。 これが一番の特長じゃないかな」
開口一番、事務課の斉藤さんは、そのように答えてくださった。
長田病院が月刊発行している広報誌クローバー便りを覗くと、その意味がすぐに分かる。さまざまなコラムの中に“皆様の声 改善事例”というものがある。日頃より募集しているご意見・ご要望…つまりは患者様の声に対し、ひとつひとつ丁寧に回答している文面がそこに掲載されていた。例をあげると、『採血室の案内表示』や『入院患者様のパジャマリース』などだ。
もちろんご意見やご要望でだけはなく、「受付対応が優しい」「以前投稿した意見が採用されていて嬉しい」などの、感謝の言葉も投稿され、その内容は翌週の朝礼で院内へ公開される。職員の方々のモチベーションも上がり、業務に励まれているのではないだろうか。
「月曜日の独特の雰囲気も、感謝のお言葉を聞くだけで変わるよ。嬉しくなるからね。」
斉藤さんが嬉しそうに話してくださった。今週も患者様のために頑張ろう!自然とテンションが上がる。素晴らしい取り組みだと思う。
 また、広報誌には、『地域のマラソン大会への参加』や『小学生を対象にした職場体験』など、地域と一緒に活動されている風景が目に浮かぶ。私が取材に行った日も、検査科の先生が、ちょうど職場体験の打ち合わせをされており、『如何に楽しんでもらえるか・学んでもらえるか』を真剣に討議されていた。
「うちは患者様を大切にしたいという気持ちが、本当に強いからねぇ。 私は事務だから直接、患者様には関わることはないんだけど…。それでも、どこか巡りめぐって患者様のためになっていると思うと、やる気が湧いてくるよね」 斉藤さんは、そうつけ加えられた。

【事務課 斉藤さん】

 2014年度には、九州初の『経営革新推進賞(日本経営品質賞)』を受賞している。この賞は、顧客価値創造の成果が出ていて、顧客満足度が高い組織に贈られるものである。上記の取り組みの姿勢をみれば、一目瞭然だ。病院トップである院長から現場で働くスタッフ、支援部署の方たちまで、病院に携わるすべての方が 『患者様のために』という気持ちをもって仕事をされている。素晴らしい病院の方針だと思う。
 余談だが、弊社も、数年前に長崎県版の経営品質賞をいただいた。そのため、”日本“経営品質賞の凄さを理解している。日頃からの努力と、院内全体で同じ意志を持ち行動する力が無いと、このような賞をもらうことは出来ない。弊社もぜひ見習わせていただきたい。

【経営品質賞の表彰状】

 そんな長田病院へ導入させていただいたシステムは、PACS(ShadeQuest/Serv、ViewR)、所見システム(ShadeQuest/REPORT)及び検像システム(ShadeQuest/KENZO)の構成となっており、2015年9月に、旧システムから更新いただいた。

【サーバ】

「モニタに反映される速度が速くなった、これはすごく助かっている」
放射線科の﨑田さんと検査科の水時さんは、口をそろえてそうおっしゃった。以前のシステムに比べ、画像表示までの速度が格段に向上し、診療効率化が進んでいるためだ。

【検査科 水時さん】


【放射線科 﨑田さん】

 「横河の製品になって、“ビューアーってこんなにたくさんのことが出来るんだ”ということを知りましたよ」
『ビューアーはこんなもの』という考えで今までお使いになられていたが、横河のビューアーになり、こんなに機能があるのかという驚きに変わったという。例えば『MPR表示』今までは、放射線技師側で作成していた画像処理も、ビューアー上の簡単な操作で出来るようになり、喜んでいただいている。
 また、機能の向上だけに留まらず、システムの安定性という点もご評価いただいた。以前は、夕方頃になると、画像表示速度が格段に遅くなる事象が発生しており、診療へ影響が出ることがあった。しかし新システムに変わってからは、24時間、安定し稼働しているため、そのようなストレスから解放されたとお話いただけた。この点については、弊社製品の最大の売りである『大規模病院での稼働実績(可用性)』を大いに体感いただけているものと、非常に嬉しくまた誇らしくも感じた。
昨今、画像システムは『単なる部門システム』から、病院全体で使用する『基幹システム』へと変革しており、『安定して使える』という要素は言葉以上に大きな意味を持つのではないだろうか。

 弊社を選定いただいた理由を﨑田さんに聞いてみる。
「周りからは”時間や約束を守ってくれたのがポイント”って声があがっていたよ」
「時間ですか?」
「そう。 他のメーカーは約束の時間に来なかったり、お願いしていたことを守ってくれなかったり、大変だったからね」
きちんと筋を通して仕事をしている姿勢も、ご評価いただいたポイントだったようだ。当たり前のことを当たり前にやること、簡単なようで、非常に難しい。
これからも末永くお付き合いいただけるよう、努力を続けねばならないと思った。

「パブリッシャも加わって、CD作成が楽になったね。書き込みから印刷までやってくれるもんね」
患者様のデータを渡すために必要なCD作成も、パブリッシャの導入により業務の負担が格段に減ったとのこと。長田病院では、周辺の診療所やクリニックとの連携が多く、パブリッシャの出番も多いのだろう。

「システックの人って面白くて話しやすいね」
“製品とは関係ないことだけどいいかな”と前置きし、水時さんが笑いながら話してくださった。何度か訪問させていただいた時に、弊社メンバーと技師様や先生方が仲良く話している姿をみかけることがあった。製品とは関係なく、弊社担当者自身の話しをしていただき嬉しい気持ちになった。これからも地域に密着した企業として、長田病院をご支援させて頂きたいと、強く思う。

 取材の合間に柳川の町を探索してみた。少し歩くと、うなぎの文字が多い事に驚いた。『土用の丑の日』、この言葉は発明家・平賀源内が江戸時代に生み出したキャッチコピーとして、今も世間に残る言葉だ。柳川はうなぎの町として有名で、年間50万匹以上のうなぎが食される。うなぎをたくさん食べる柳川には、“うなぎ供養碑”が存在する。うなぎ料理組合や漁協の協力によって建てられており、毎年土用の丑の日には、うなぎ供養碑前でうなぎの稚魚放流などが行われている。食材という見方ではなく、柳川のシンボルともなっているうなぎへの感謝の気持ちがこもった供養碑なのだろう。
 私たちも昼食に脂ののったうなぎをいただいた。通常、うなぎ料理といえば、うな重やうな丼だが、今回は柳川を発祥とした、うなぎのせいろ蒸しをいただく。
「うなぎは重でもなく丼でもなく、せいろ蒸しが一番ですよ」
﨑田さんからお話は伺っていたが、なるほど、これは美味しい。﨑田さんの言葉にも納得出来る。ご飯がうなぎの甘い脂を吸って、味がぎゅっとつめ込まれているのが分かる。うなぎとご飯のもちもちとした食感は、せいろ蒸しならではないだろうか。これだけ味覚を楽しませてくれるのだ、供養碑が建ってもおかしくないと実感した。

【うなぎ供養碑】     【うなぎのせいろ蒸し】

 さらに歩くと、どんこ舟に乗って観光する人たちをみかけた。掘割沿いを歩きながらの散策も楽しいが、舟から見る景色は別の表情が見えるのだろう。ゆっくりゆっくりと進んでいく舟は、その魅力を余すことなく伝えるためなのではないだろうか。個人的に乗ってみたい気持ちにさせられる。掘割を進むと、大きなお屋敷、柳川藩主立花邸『御花』にたどり着いた。

 御花で可愛らしい赤い吊るし飾りを見つけた。この飾りは“さげもん”と言い、柳川の伝統工芸のひとつらしい。通常3月になると、女の子がいる家庭ではお雛様が飾られる。しかし柳川ではお雛様だけではなく、“さげもん”も一緒に飾られるのだ。お雛様は子どもの成長を願い、さげもんは子どもの長寿を願うというように、それぞれの役割が違うのも特長である。また、さげもんに吊るされているひよこや桔梗もただの飾りではなく、大事な意味を成している。ひよこには“かわいらしさ”、桔梗には“ものしずかで、上品な花”という意味がこもっている。柳川で育った女の子は、お雛様とさげもん2つの飾り物から贅沢に祝福してもらえるのだから、相当の幸せ者になれるのではないだろうか。

【さげもん】      【さげもんの意味】

 私も小さいときお雛様を飾ってもらった記憶があるが、最近は桃の節句になっても何もしないことが多い。そうだ、来年の3月3日はさげもんを飾ろう。
あの可愛らしい赤の吊るし飾りが家にあるだけで、幸せな気持ちになれる気がする。

以上

〈熊本営業所  奥村春香 取材日 2016年7月8日・15日〉